カレーうどん問題 – タクソノミーシンドローム

コンテンツを整理しようとすると、必ずぶつかる壁があります。それがカテゴライズという行為。最初は単純なものだと思っていたのに、手を動かしていくうちに次第に深みにハマり、「あれ?これってどこに分類するのが正解なの?」という無限ループに陥ります。

■ カテゴライズ欲求とその落とし穴
SharePoint に限らず、情報設計をしていると、「このコンテンツ、どこに入れたらいいの?」という悩みが湧きます。「種類ごとに分ければ、ユーザーが探しやすくなる」という意図で始めるカテゴライズですが、カテゴライズって、めちゃくちゃ難しいことを思い知ることになります。
なぜ難しいのか?
それは、「データ」と「コンテンツ」の違いを見落としているからです。
コンテンツマネジメントの神様 Bob Boiko 氏によれば、データは構造を持ち、規則に従って整理できるものであり、コンテンツは、意味や文脈、人によって解釈されるものです。
この違いを理解していないと、「分類できるはずだ」と思い込んで進めた分類が、現場で簡単に崩壊していきます。

■ コンテンツは単純にカテゴライズできない
カテゴライズとは本来、排他的な属性を与える行為です。たとえば「都道府県」で言えば、北海道であるなら東京都ではありません。排他的であることで、明確な整理が可能になるのです。
しかし、現実のコンテンツはというと、多くの分類設計は、設計者の主観で決められています。
作った本人にはそこそこ上手く仕分けたように見えても、その分類を使うユーザーはそう思っていないのです。

■ カレーうどんはどこに入れるのか?
ここで登場するのがカレーうどん問題です。
ある人がフードコートを参考にして、食品をこう分類しました:

・ハンバーガー
・お好み焼き
・ラーメン
・パスタ
・カレー
・うどん
・スイーツ・お菓子

そこで誰かが聞きます。「カレーうどんは、カレーですか?うどんですか?」
すると次にこう考えた人が出てきます。「よし、今度は麺類と飯類で分けよう。うどんは麺類、カレーライスは飯類。ならばカレーうどんは麺類だ!」
しかしそれは、「構成材料の俗称による分類」でしかありません。
次に別の誰かがこう指摘します。
「カレーうどんがカレーのカテゴリに無いんですけど?」
分類設計者は弁明します。「これはね、主成分の形式で分けてるから、麺なら麺に分類するんです」
すると返ってくるのがこんな意見:
「カテゴライズの前提が変。カレーの口の人は、まず『カレー』か『それ以外』で分けて、そこからカレーライスかカレーうどんかを決めるはずでしょ?じゃあマクドナルドがライスバーガー作ったらご飯であって、ハンバーガーじゃないの?ベビースターラーメンはお菓子じゃなくて麺類なの?」

■ カレーうどんはあらゆる分野に存在する
このような「どちらにも属するし、どちらにも属しきれないもの」は、食べ物に限った話ではありません。ITでも、教育でも、医療でも、アートでも、カレーうどん的存在は無限に出現します。
カテゴライズしようとすればするほど、「例外」と「グレーゾーン」が増える。
これが、私が提唱するカレーうどん問題です。
コンテンツを「きれいに整理できる」と思い込んで分類を始めると、必ずこの問題にぶち当たります。

■ カテゴライズ唯一の成功例はタグ方式
カテゴライズにおいて成功している唯一の方式は、タグ方式です。
木構造(ツリー型)や単一カテゴリ方式は、いずれ崩壊します。「男 or 女」すら例外ではありません。
特徴や属性は複数付与されるものであり、無限に存在する中間は、二つを付与して納得させます。それがタグです。
カレーうどんなら、[カレー] かつ [うどん] として扱える。
カレーうどんバーガーでも、[カレー] [うどん] [バーガー] の3タグでいい。
ベビースターラーメン(カレー味)でも、[お菓子] [麺類] [カレー味] でOK。

あなたの周りでも、コンテンツを精緻に分類しようとしている人がいたら、気にかけてあげてください。
このブログの記事がカテゴライズされている矛盾は内緒にして。。。

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